
『モンスター』 百田尚樹

![]() | モンスター (幻冬舎文庫) (2012/04/12) 百田 尚樹 商品詳細を見る |
この町での生活はひどく不幸なものだった。
顔が獣のように不細工だったというだけで、
人としての幸せなど感じずに生きてきた。
そんな女が、絶世の美女に生まれ変わって、
別人となって故郷に帰ったのだ。
そこで女はフランス料理店を開き、
ある人が客として現れるまで待ち続けるのだった。
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これ、ちょ~~面白い。
面白いんだけど、切ない。
作者の百田さんって、あの、本屋大賞に選ばれたひとなので、
取りあえず、この人の本が読みたいと思って、
文庫化になってる作品の中からこの一冊を選んだ。
モンスター・・・その名の通り、
怪獣のような顔で産まれてしまった少女は、
学校でもいじめられ、友達も出来ず、
恋をすることも許されない、
そんな辛い日々を送っていた。
それでも密かに恋していた男子がいたのだ。
少女は、「目が見えなくなってしまえばいい。」
と、その男子生徒に薬品を混ぜたジュースを飲ませてしまう。
未遂に終わった事件だったが、、
そのことで少女は家族にも見捨てられ、
一人孤独に東京で生活することになる。。
一人の生活は苦しい物だった。
顔が醜いということで、人生に光も希望も見えてこない、
ただ、少ない給料で家賃を払い、
最低限の生活をしていくしかなかった。
こんな顔では結婚相手もどうせ見つからないだろうと、
貯金をするが、あまり貯まらない。
そこへ、ふと目に入った美容整形の広告。
それから女は生活を一変させていくのだ。
整形するお金を捻出するために、
風俗で身を削る。
完璧な容姿を手に入れた頃には、
女は身も心もボロボロだった。
が、ある目的を果たすために、
故郷に戻る決心をしたのだ。
最後の場面では、女は幸せな気持ちで死んでゆくのだが、
でもそれは、ちょっと違った物だったのが、切ないところだ。
世の中、見た目の違いで、どうしても差が付いてしまう物なのか・・・
収入、結婚、幸せの度合い、
なんだか、不公平だな。
整形をする人が増えているのも分かる気がした。
あ~~~~切ない・・。


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