
『ハッピーリタイアメント』 浅田次郎

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あと、数年で定年を迎える男が二人、
一人は自衛官、一人は財務官僚。
この二人が配属された天下り先は、
まるで実態のない組織だった。
その組織を牛耳っている矢島を陥れるために、
二人の教育係の立花葵が考えた秘策とは?
先が見えてる二人と、自分の位置にうんざりしている立花が、
その作戦を実行する。
3人は、大きな幸せを得られるのか・・。
天下りの機関なんて星の数ほどあるんでしょうが、
ほぼ全部が、どうでもいい機関なんだろうな。
わかってるけどやめられない。
だれでも楽して金が入るなら、
税金が無駄になったって自分だけ良ければいいのだ。
特に官僚とか、政治家とか。。。
この話に出てくる天下り機関は、
不良債権の資金の返済をお願いして回る仕事。
でも、回収出来なくてもいいという。
やらなくてもやったことにすればいいのだ。
こんな楽なな仕事はないよな~。
しかし、新しく任命された二人は、
どうゆう訳か、回収に成功してしまう。
性格がとにかくいいんだな。
行くところ行くところ、みんな、
返さなくてもいい昔の借金を返してくれるのだ。
その回収したお金は、ある秘密の口座に貯蓄される。
秘密の口座だから、その金をネコババしたとしても
とがめられない。
立花はそれを利用して、3億以上の回収金を3人で山分けするという、
大胆な作戦に出た。
ラストは、それが成功したのか、そうじゃないのか、
それが分からないようになってる。
でも、3人とも、かけがえのない物を得た喜びがあふれているのだ。
自分にはもう、失う物もなく、生きていてもおもしろみがない。
そんな3人が、お互いを信じ、支え合っていける、
大事なパートナーとなったという喜びなのだ。
お金も大事だけど、それよりも、
人が人と信頼しあってつながってることの方が大事、
なのかな~、と思わせるお話でした。


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