
『九月が永遠に続けば』 沼田まほかる

![]() | 九月が永遠に続けば (新潮文庫) (2008/01/29) 沼田 まほかる 商品詳細を見る |
元夫の後妻の娘の彼氏との情事を重ねていた佐知子。
その日もその男と会っていた。
それは突然で、前触れもなく起きた。
息子が軽装で何も持たずに失踪。
さらに、男も事故死。
佐知子の身の回りで不可解な事件が二つ。
何か関係があるのか?
元夫夫婦、後妻の娘と彼氏、そして息子の周りの人たちの
関係が明らかになっていく。
これは、ただのミステリーではあるんだけど、
推理すればよいだけの話ではなかった。
いろんな登場人物が出てくるんだけど、みんな、何かしら
心に傷があったり、ゆがんでいたり。
だから、犯人がいったい誰なのか、事故なのか、
息子はどこにいるのか、が、全く読めなかった。
佐知子の元夫は精神科医。患者であった後妻は、16歳の時に
兄と共に誘拐され、兄の目の前で強姦され、痛めつけられ続けた、
という過去があり、その数年後にも、レイプされてしまう。
精神的におかしくなってしまった彼女を守ろうと、
元夫は佐知子と離婚し、再婚した。
この後妻は、とてつもなく綺麗で、魅力があって、
周りの男達をいろんな意味で狂わせてしまうような、
何かを持っているのだろう。
自分でも気付かない、何かだ。
しかもそれは、娘の冬子にも受け継がれていた。
この二人を取り巻く男達が、なぜ取り乱してまでその
女達を守ろうとしてしまうのか。
美しいって、罪だ。
そうゆう女に狂ってしまった男達に、また周りの人たちは
振り回されてしまい、しまいには不幸になってしまうのだから。
ああ困った。
いろんな事情があるにせよ、自分を犠牲にして、
周りの人を不幸にしてまでもその人の所に行ってしまうなんて、
やめとけばいいのにね~~~。
と思うような話でした。
そして、犯人というのは、またこれが「あんたか!」
って感じ。
このミステリーは、犯人探しよりも、他の所に興味が行くようになってたな~。
犯人はどうでもいいよ!こっちが気になる!みたいな。
読み応えあったし、今後も気になる。


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