
『闇に香る嘘』 下村敦史

『闇に香る嘘』 下村敦史
全盲で一人暮らしの村上和久は、
腎臓移植を必要とする孫娘のために、
自分の腎臓を検査したが、健康な腎臓ではなく、
移植が叶わなかった。
田舎で暮らす兄に移植をお願いしたが、
かたくなにそれを拒まれてしまったことで、
実は兄は自分と血がつながってないのではないかと
疑念を抱き始めた。
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映像がないからなおさら、
全盲の人の暮らしや環境など、
文章で読んでみると、すごく分かりやすく、
なんだか私も全盲になったような気分で読んでいた
って気がする。
なるほど、そっか、
目が見えてないから、部屋の電気もつける必要がない
誰かが潜んでいても、気づくことが出来ない、
時間も耳でしか、耳を頼りに確認するしかない、
人が入れ替わっていても全く分からずに過ごしてしまう。
全盲の人の目線だからこそのトリックだった。
一度読んだら、もう一回読み直したくなる話だった。
兄弟愛、家族愛も描かれていて、
最終的には登場人物に悪いやつはいなかった。
そんなミステリーでした。