
『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』 村上春樹

『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』
村上春樹
高校時代の仲良し男女5人、
いつも一緒に過ごしていて
それはずっと続くのだろうと思っていた。
ところが、大学進学と共に上京した多崎つくるに対して
故郷に残った他の4人からの突然の絶縁。
理由が分からず、死のうかとも思った時期があった。
心に穴が開いたまま30代になり、
つくるは意を決し、
突然に縁を切られてしまった友人に会いに行き
その理由を知るために旅に出た。
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やっと文庫になりました~~。
村上春樹ワールドね。
哲学満載。
音楽も。
ファンタジーな内容では無かったけど、
やっぱり引き込まれました。
色彩を持たない・・・ってどうゆう意味かと思ったら、
名前に色が無いって言う意味で、
つくるの友人達は皆、
赤、黒、白、青、
って名前の中に一文字入っていた。
それ言っちゃうと、私だって色彩持ってないし、
てか、持ってない人の方が大半ですよ。
だから、そこはそれほど重要ではなくって。
仲間はずれにされたのは、色が原因ではないよ~、
って話。
わけ分かりませんね、ごめんなさい。
つくるにとって、高校時代の4人が唯一の友人で、
かけがえのない存在、
それが突然「もう会えない。」
って言われて、みんなと音信不通になってしまった、
理由も言われずに。
仲間はずれって、いやよね。
私も過去に(高校の時)、仲間に突然無視され、
仲間はずれにされたことある。
でも、その時の私は、
そのグループが全てでは無かったし、
他の友達と仲良くすることが出来たから
別段、思い悩むこともなく、
(少しは悩んだけど)
楽しく高校生活を送れた。
つくると同じで、
あのとき私が外された理由は何だったのか分からず、
未だに解明出来ずに終わってますが。
でも、つくるはその理由を知るために旅に出た。
知った方が良いのか、知らない方が良いのかは分からない。
これって、けっこう勇気がいるよね。
すごく後悔するかも知れないし、
取り返しがつかないことでまた悩むかも知れない。
自分を嫌いになって自暴自棄になる可能性も。
でも、つくるが将来に向けて前進するためには
必要な事だったのかも知れない。
結果、理由を知ったつくるが、
知る前のつくるとは全く違う人間になった様に思えたし、
それはすごく前向きで、
人を思う気持ちも強くなって、
本当の意味で
色彩が無かったつくるが
色彩を持ち始めたのかな、
って思えるようなラストだった。
春樹っぽいところ、もう一つ、
答えを書いてくれない。
私たち読者が想像しなくてはならないようになってます。
多分それは、この物語で春樹が言いたいこととは違うから、
その結果自体はどうでも良い。ってことなのよね。
わかりにくいでしょ?
それが、村上春樹ワールドなのですね。