
『あなたが消えた夜に』 中村文則

『あなたが消えた夜に』 中村文則
連続殺人事件が起こった。
目撃証言によると犯人はコートを着た男。
捜査中にも殺人が起こる。
模倣犯も現れる。
しかし、捜査を進めていくうちに
コートの男なんて存在しないことがわかる。
人間関係が複雑に絡み合ってるこの事件。
いや、複雑ではなかった、
それは愚かな男女が起こした変質的な愛のゆく末だった。
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愛が憎しみに変わって、とか、
愛する人のために自分を犠牲にして、とか、
愛してるからこそ殺してあげたい、とか、
愛する人の為なら殺人もする、とか、
そうゆう愚かな人間が事件を起こしてしまうお話。
面白かったよ。
事件に関わった犯人や犠牲者は
みんな心に闇を抱えていたり
心の病気だったりするんだけど、
それは一様に皆、幼少の頃の辛い記憶が
影響してるのよね。
親から暴力を受けていたとか、
母子家庭で、母親はいつも男を連れてきて閉め出されるとか、
親からの愛情をもらわずに大人になってしまった人は
何かしら、心に障害を負ってることが多いのよね。
偏った愛情表現をしてしまいがちなのは分かるけど、
犯罪犯しちゃうのは勘弁して欲しいわ。
実はこの事件を追って解決した刑事も
辛い記憶を抱えてるんだけど、
それを乗り越えてちゃんと社会に貢献してる。
そうゆう人の方が多いだろうと思うけど。
ただ、最後の場面では、
この刑事もやはり、
愚かな恋愛が始まるところで終わってるんだけどね。
どうなる事やら。