
『さよなら。ベイビー』 里見 蘭

『さよなら。ベイビー』 里見 蘭
突然、父が生後数ヶ月の赤ん坊を連れてきた。
知り合いが海外に仕事で行くことになったからと
少しの間預かることになったという。
しかし、3日後、父は風呂場で突然死した。
父と2人暮らしの引きこもりの息子、雅祥(21才)は
赤ん坊を目の前に、どうして良いのかわからない。
親が誰なのかを知らされてなかったのだ。
赤ん坊をどこかへ預けることも出来ず、
仕方なく世話をする雅祥。
民生委員さんや、いとこのお姉さんに協力して貰いながら、
父の知り合いだという親が帰ってくるのを待った。
しかし、いつまで経っても迎えにこない。
疑惑を持ち始めた雅祥は、親を突き止めようと調べ始める。
真相を知った雅祥は何を思うのか・・・。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
引きこもりの青年が、赤ん坊を面倒見るという
そのドタバタが面白かった。
そうしていくうちに、引きこもってもいられなくなって、
外に出るようになったり。
でも、赤ん坊の親は一体どこの誰なのか、
父は、なぜ親の事をきちんと教えてくれなかったのか、
自分が4年前に引きこもりになってしまったのが、
実は自分でも、その理由が思い出せない、
ガンで亡くなった母に大事なことを打ち明けられたのだ
と言うことだけは覚えているのだが・・・。
そうゆう事も父は話してくれなかった・・・。
民生委員さん、いとこのお姉さんが
手伝ってくれてるが、何か、隠してる感じ・・・。
真相が分かった雅祥の気持ちね、
ネタバレです
民生委員さんは雅祥の生みの母親で、
いとこのお姉さんが赤ん坊の母親だった~。
何とも、複雑なことですよ。
生みの親の気持ち、育ての親の気持ち、
それを受け入れる雅祥の気持ち、
全部知ってた、父親の気持ち。
いろいろな気持ちが交差してて、
わけが分からなくなったけど、
最後には何となく一件落着したよ。
赤ん坊は雅祥の親戚にあたる子だったが、
血はつながってなくて、
でも、すっかり、自分の弟だと思ってかわいがっているし、
実は母親と名乗った近所の民生委員には
中学生の娘がいて、それは正真正銘、
血が繋がった妹だったわけで。
育ててくれた父親と母親は死んじゃったけど、
いきなり現れた母や妹、そして、弟が、
きっと引きこもっていた雅祥の生活を
明るいものにしてくれるだろうと思って、
なんだかこっちもすがすがしい気分になった。
母と子の話というのは、
やっぱ、泣けるね~。