
『スクラップ・アンド・ビルド』 羽田圭介

『スクラップ・アンド・ビルド』 羽田圭介
ニートの孫、健斗は要介護の祖父と母親と同居している。
健斗は企みを持って祖父を介護する。
又、祖父の方も思うところがありそうだ。
母は娘という立場から祖父に対して冷たくあしらう。
3人の内心がぶつかりからみあい、
一体何が正解で、どうしてすれ違っているのか、
健斗はこの環境の中でどう変わっていくのか・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
説明難しいよ。
羽田さんがどう結論付けたのかが分からないから。
でも、一つ言っちゃう・・
同じ芥川賞の『火花』より面白い。
ネタバレしちゃいます。
おじいさんはいつもいつも「死にたい」
といいつつも、死のうとはしないし、介護をされたがる。
健斗は、おじいさんが早く死ねるように
逆におじいさんの世話を焼いて、
リハビリになるような動きを阻止し、
どんどん衰えさせていく作戦に出る。
実はおじいさんは本当はすごく元気なのでは?
という場面がある。
お母さんはそれを知ってか知らずか、
「それくらい自分で出来るでしょ!」と
おじいさんに辛く当たる。
3人が個々にバラバラな考えを持って生活しているのだ。
そこが面白いところだね。
要介護人がお家にいる人はみんな
そんな風に相手を誤解しながらも
一応思いやって、一応親切に対応して、
甘えるときは甘え、
でも、時には厳しくしつける。
介護されてる側の気持ちは計り知れないところがあるね。
面倒見て貰いたい、
迷惑かけたくない、
でも、体はつらい。
死にたい。
でも行きたい。
健斗は、おじいさんは死にたいんだ、
と思うことにして、行動を起こすのよね。
おじいさんを完璧に介護するには体力がいる。
健斗は体を鍛えはじめるのよ。
体を鍛えはじめると、相乗効果が起こるね。
勉強も集中できる。
考え方が前向きになる。
時間を有効に使えるようになる。
顔の表情が変わる。
結果・・・健斗は
おじいさんを死なせたいという気持ちから
ニートから就職が決まるまで自身を変えてしまったのだ。
おじいさんはそれを見越してしたのだろうか・・・。
いや、それはなさそうだ。
もしかしてキーマンはお母さん??
この本は、これから未来を担う若者と
介護と向き合う可能性のある人に
是非読んでほしいな、って思いました。
かなり、深く考えさせられます・・・。